No.4 共有している土地の分割請求の事例


【事  情】

  相談者ら(次男と三男。以後はそれぞれ次男と三男と言います。)は父親の死後、長男と遺産分割協議を行いました。遺産には一筆の土地(300㎡)とその土地上に3棟の建物(A・B・Cとします。)があり、建物はそれぞれ1棟ずつ、土地も分割して相続するということになりました。
  3兄弟は、税理士の先生に主導してもらい遺産分割協議書を作成したのですが、曖昧な部分が多く、建物はAは長男が、Bは次男が、Cは三男が取得すると定めているものの、A・B・Cが建っている土地については、それぞれ100㎡ずつというような記載しかありませんでした。A・B・Cはそれぞれ綺麗に3等分された部分に建っているわけではなかったので、この記載によると、次男と三男が相続した土地の上に、Aの建物の一部が存在しているという状況(つまり越境している)が生じてしまいました。
  そこで次男と三男は、長男に対して、越境部分を買い取るように請求しましたが、物別れに終わってしまいました。次男と三男は、このままではずっと越境されたままになってしまうことになることを恐れ、当事務所に相談に来られました。



【解決までの経緯と結果】

  ご依頼を受けてから弁護士が長男と交渉を開始しましたが、兄弟間の確執もあり、交渉は難航しました。そこで弁護士は共有物分割請求事件を申立てて、共有物の分割に加えて、相続発生以来不法占拠しているとして賃料相当額の損害賠償請求を行いました。
  主張や交渉を重ねる中で、最終的には賃料相当額の損害賠償請求は譲歩して、これ以上兄弟間の確執が生じないように配慮し、兄弟間で納得いく結果を導くことができました。 
 
  本件では、最初にきちんとした遺産分割協議書を作成していれば、特段問題が生じるような余地がない事案でした。つまり、遺産分割協議書が曖昧であったために、本来円満であるべき兄弟間に諍いが生じてしまったという不幸な事案です。
  遺産分割協議がまとまったのであれば、費用が多少かかっても専門家に協議書の作成を依頼することをお勧めします。本件のように、詰めが甘いことになると、却って多額の出費が生じることにもなりかねませんし、心情的にも争いが生じてしまう恐れが高くなってしまいます。
  本件は、次男と三男が、賃料相当額の損害金を譲歩することでこれ以上兄弟間の争いがひどくならないように配慮したが、今後これが功を奏して、兄弟仲良くやっていってくれることを祈ってやまない事案となりました。
  


当事務所で無事解決した事例の一部をご紹介させていただきます。


No.1 建物明渡し、未払い賃料の強制執行

No.2 土地を時効取得したと言われた事例(境界と時効の問題)

No.3 建物明渡し請求の事例

No.4 共有している土地の分割請求の事例

No.5 未払い賃料を早期回収した事例

No.6 早期に建物退去させた事例

No.7 土地の賃料増額を認めさせた事例

No.8 作業所の滞納賃料360万円を連帯保証人をつけて和解ができた事例

No.9 約1ヶ月で明け渡し及び未払い賃料の分割和解ができた事例

No.10 不動産売買に関するトラブル事例

No.11 賃料滞納により物件の明け渡しを認めさせた事例

No.12 賃料滞納により訴訟に踏み切り、任意の明け渡しを認めさせた事例

No.13 購入した不動産に居住し続けていた前住人を法的に退去させた事例

No.14 土地売却のため立退請求をされたものが、立退き不要になった事例

No.15 貸借人が賃料を滞納していて、督促しても支払わなかったものを解決した事例

No.16 建物明渡し請求 ⇒ 開き直った家賃滞納者への対応

No.17 建物明渡等請求 ⇒ 家賃滞納者へ支払いを約束させる合意を結ぶ

No.18 賃料請求 ⇒ 家賃滞納者への支払督促手続

No.19 建物明渡し ⇒ 賃料滞納者と連帯保証人との合意書を交わす

No.26 亡き母から相続した財産分与を原因とする不動産持分の移転を実現できた事例

No.27 家賃を滞納した賃借人に対して建物明渡しを求めた事例

No.28 所有建物のリフォーム工事のための隣地使用の承諾を得ることができた事例

No.29 自宅の外壁を補修するために隣地所有者に隣地への立入りについての承諾を求めた事例

No.30 弁護士が介入することで、立退料なしで、土地の賃貸借契約を合意解除できた事例

No.31 賃貸人・賃借人ともに代替わりした賃貸の契約書を現在の形式に整えることができた事例

法律相談の流れ

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